3週間くらいかけて、お祭りの準備とお祝いとをしていましたら、終わった途端、寂しくなるものです。今回「追い詰められた猫と噛まれそうになった鼠」に出てくるペピート君と、某“広場”にUPした2月の企画話「ビター・チョコレートの挑戦」に出てくる(?)ペピートとは、同一人物です。
「ええっと、これが『La cerise』のおじいちゃん達で、これがおじさん。これがみんなの分で……ペピートは郵送でいいわよね。で、これがミシェルので………」と、マリナが冒頭で言っています。
ああ、こんなところに同時期で書き出したのだという証拠がありますよ。恐ろしいですね。ジルより先に、マリナはペピートに会っていたということにしておきましょう。そうしましょう、うん。ちなみに、『La cerise』とはお店の名前であり、「さくらんぼの実る頃」に出てくるあのお店の名前です。なんのことはない、訳すれば、「さくらんぼ」です。捻りがなくてすみません

安直、バンザイ。それにしても、この頃は、ペピートの扱いが何だか悪い気がしますが、気のせいですっ。
「追い詰められた猫と噛まれそうになった鼠」とは、これまた長い題ですが、常々、長い題に挑戦してみたい野望(?)がありましたので、これに関しては達成できて満足。誰が猫で誰が鼠なのかということは、皆さんの自由。
このお話は、8000hitを踏んでくれました
くみゅーさんのリクエストから出来ました。そのリクエストの内容とは……
「シャルルがマリナを壁に押し付けて腕の中に囲う」というものでした。そして、危うく接近するシャルルを、ということでしたが……う~ん、いかがでしょうね? 甘さは軽くなってしまいましたが、嫉妬に狂うシャルルと、彼等を見守る(?)周りの人物が普段よりも大勢出せたので、自分に甘い私は、そういう点については良しとしています。
皆さんはいかがでしたでしょうか。特に、リクエストを頂いたくみゅーさんが満足していただけたなら、幸いです

あっ、そうそう。
あの後のふたりが気になっているという方は、コチラ
本当は、マリナの頬を両手で包んだシャルルは、あの後、そのままマリナの頬を引っ張る、という設定がありました。一応は。けれど、少しでも甘い余韻を残そうと想った結果、最後はあのまま終わりにしたのです。
今日は、そのおまけをチラリと。
それでは、気になる方だけ、文字を反転させてお読み下さいませ★
――「追い詰められた猫と噛まれそうになった鼠」終了後。
みぃ。
「いひゃいっ、なにひてるのひょっ!!」
頬に手の温もりを残したまま、シャルルの手が放れていったと思ったら、いきなり頬を引っ張られて、あたしは悲鳴をあげた。
なのに、シャルルは楽しそうに微笑むだけで、一向に手を放してはくれない。そうだ、忘れてた、シャルルって、後ろを向いている人物を何の躊躇いもなく突き飛ばせるような人間だった! ああ、あたしの警戒心も、1ヶ月もすればすっかり消えてなくなってしまうのねっ。
「不細工だな」
ええいっ、本人を目の前にして、よくも言ったな。
でもね、それは、あんたがあたしの頬を引っ張って、ただでさえ横に広がっている顔を、さらに横に伸ばしてるからでしょっ!!
と言いたくても、ほっぺが痛くてとてもじゃないけれど言えそうにない。ホント、悔しいったらないわ。後で、覚えてなさいよ、シャルル。
「さて、邪魔者も追い払えたことだし、久しぶりにどこか行こうか?」
はて、シャルルの言う邪魔者って、誰のことかしら。
「シャルル、もしかして、あたしに言いたかったことって、あれが全部なの?」
だとしたら、あたしは、とっても不愉快よ。
だってシャルルは、あたしに対する注意ばかりしか言ってないんだもの。自分のことはおろか、仕事のことすら、ひと言も言ってない。それじゃあ、まるで、あたしが役立たずだって言われてるみたいな気がするのよ。
でも、シャルルは来た時よりも晴れやかな顔をして、いつものようにふっと微笑んでみせた。
「さすがに全部言うには時間がなさ過ぎるよ。でも、ひとつの言葉で気持ちが十伝わる時っていうのもあるだろ。今は、そんな気持ちなんだ」
それって、ヘンよ。だって、シャルルはあたしのことしか言ってないのよ?
「ああ、実に良いストレス発散だったよ」
ニッと意地の悪い笑みを浮かべてシャルルが言うものだから、あたしは彼の脇をつねり上げ、隙を見てようやく壁際から抜け出した。全く、勝手に人をストレスの捌け口にさせないで欲しいわ。身が持たないのよ。あたしに出来るのは、せいぜい、話を聞くことぐらいだわ。
「ちょっと、いつまでそんな恐い顔してるのよ。どこか、食べに連れて行ってくれるんでしょ、早くしなさいよ!」
ところがシャルルは、食べ物を前にウキウキするあたしの気持ちがわからないのか、キッと睨み付けて、こう言ったのだ。
「マリナちゃん、君のその口を、食べ物以外の物で塞ぎたくなってきたよ」
ひぇっ。シャルルが言うと、冗談に聞こえなくて恐いっ!
そのひと言であたしは借りてきた猫のように大人しくなり、そんなあたしの様子に満足したシャルルは気を直して、再び食べに連れて行ってくれると言ってくれた。うっ、よかった。
あたしは、うれしさのあまり、シャルルの腕に頬ずりをしたい気持ちだったのだけれど、涎がシャツに付くから止めろと言われ、そんなものは拭いて乾いてしまえば誰も気付かないわよ、と教えて上げたあたしに向かって、シャルルは冷たい目線を投げて寄越したのだった。
ああ、ホントに元気そうで、何よりねっ!即興です。久しぶりにマリナ目線で創ってみました。
よし、この調子で「さくらんぼ~」も「~in Roman」も頑張ろうっと♪
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