2006-07-06(Thu)

ひっそり感謝!

こちらに足をお運びになられた皆様方、本当にありがとうございます
そんな皆様方に、ささやかではありますが、お礼をしたいと思います!

私のお礼と言ったら、「物語」くらいしか出来ません……。


               Thank you for visiting me!




「Bonjour mademoiselle」
 ん?
「Bonjour mademoiselle, comment allez-vous?」
 んん――!?
 おかしいなぁ。さっきから耳にする、あたしに向けられているこの言葉、これって、フランス語よね。みんな、あたしがフランス語出来ないって知ってるはずなのに、一体どーして突然フランス語で話しかけてくるのよ!?
 ボンジュールじゃないっ。おはよう、と日本語で言って!
 そう叫ぶのに、アルディ家の使用人であるみんなは、あたしには冷たい。通じているはずなのに、みんな知らんぷり。嫌みたらしい程さわやかな笑顔で、やっぱりフランス語しか話さないのよ。先日まで話せた日本語を、一体どこに置いてきたのかしらね!?
 あたしは繰り返される「Bonjour」に頭を痛めながらも、どうにかこの事態を理解しようと食堂に向かって猛突進! ドアを開けると、優雅にお茶を飲みながらゆったりと新聞を読んでいたジルが、驚いた顔をしてあたしを見たけれど、すぐにいつも通りの優しいジルに戻って挨拶をしてくれた。
「おはようございます、マリナさん。そんなに勢いよくドアを開けると、壊れてしまいますよ」
 ああ、よかった。ジルは普段通り、日本語で話してくれる。
 ジルまでフランス語に戻ってしまったら、あたしは異国の地で途方に暮れるところだったわ。
「ジル、今はドアどころじゃないのよ。あのねっ」
 ここへ来た時から受けた衝撃を、あたしはすべてジルに打ち明けてしまいたかった……のに、ジルはそれをさせてはくれなかった。勢い込んで走り寄ったあたしを、ジルはたったひと言で立ち止まらせてしまったのだ。
「おはようございます」
 よく通る透明な声で、本日2度目になる挨拶を受けたのよ……。何故だか訳がわからないあたしは、思わず素っ頓狂な声を出してしまう。
「へ?」
「おはようございます、マリナさん。まずは挨拶からお聞きしますよ。どうぞ、座って下さい。紅茶はいかがですか?」
「いただきます……」
 あたしは3回目の挨拶を受け、ようやく返事を返して、言われるがままに席について紅茶をおいしくいただいてしまった。
 ――ああ、落ち着くわね。ジルの淹れてくれた紅茶は特においしい……って、もうっ! 懐柔されてどうするの、あたしったら。自己嫌悪になっちゃうわよっ。
けれど、立ち直りの早いあたしはすぐに気分を持ち直し、恨みがましい目つきで横にいたジルをじっと見た。
「――ジル、出端をくじいたわね!?」
「あら、そんなつもりはなかったんですけど」
 うっ。ニッコリと笑ってジルが否定しても、全然嫌みじゃないところが、恐い。
「それで、朝からどうしたんですか?」
 そのひと言でようやく本題に戻り、あたしがジルに事のすべて伝えると、ジルはちょっと考えるように顎に手を置き、傍にいたマドレーヌを呼んだ。彼女は他の人よりも日本語が上手で、あたしはすぐに彼女と仲良くなることが出来た。何でも、昔、アジアにいたことがあるらしいのだ。
「マリナさんにもわかるように、この場だけ日本語で話して下さい」
「……はい、わかりました」
 そう日本語で答えて、マドレーヌはすぐにやって来ると、あたしの方をうかがいながら事情を説明してくれたのだけれど、あたしはその話を最後まで聞いていられずに、途中で叫んでしまいそうになった。
「なっ」
 それが出来なかったのは、あたしが口を大きく開けた瞬間に、突然クロワッサンを突っ込まれたから。口の中に食べ物が入ると、何よりも先に噛み砕きに入るのよね、あたしの場合。うん、おいしい。温かい。さすが、アルディ家の朝食はひと味違う。
 ――でもね、ジル、マドレーヌが心底びっくりしてるわよ?
「さ、マドレーヌ、最後まで話して」
 ジルが普段と何ら変わりない笑顔を見せて促すと、マドレーヌは我に返ったように再び話し始めた。でも心なしか、ジルを見る眼が変わっている気がする。
 まあ、ふたりの関係はこれからじっくり見守ることにして、与えられたクロワッサンをいただきながら聞いた話の内容はこうだった。
 先日、あたしが帰った後で、シャルルが怒気を帯びた声色で言ったのだそうだ。今度から、マリナ・イケダに対しての日本語の会話を全面禁止する、と。破った者には、減給か休日返上のどちらか。う~ん、厳しい。
 どおりで、誰も日本語を話そうとしない訳よね。業務を妨害しても、変わらずにフランス語だったんだもの。みんなの苦労が身にしみるわ。大変ね。
「マリナさん、このお話に心当たりはありますか?」
 ジルがブルーグレーの瞳を注意深く光らせ、ドキリとするあたしを正面から見つめた。
「うーん。それが……」
 あたしは正直にジルにすべてを話したのだけれど、悪かっただろうか。何だか、ジルの様子がいつもと違っているのよね。急に額に手を当てて、気だるそうに首を振っている。
「……マリナさん、取り合えず、シャルルに直接掛け合って下さい。私では役不足みたいですから……」
 うっ。あたし、そんなにジルを困らせるようなこと言ったのかしら!?
 おののきつつも、あたしは少し反省して食堂を出、そうして、まだ恐らく激高しているだろう彼の元へと、ひとり、向かったのだった。



「Bonjour la petite fille」

 ――ああ、気が重いっ。





「ジル様、マリナさんはシャルル様に何をなさったんですか?」

「わかりません。……マリナさんは、心当たりが多すぎて、と言ってましたから。きっと、私達が心配する必要はないかもしれませんね。ふたりの間で起こったことですから、問題はふたりの間で解決するでしょう。それにしても……」

 ジルはそこで言葉を切ると、その続きを長い溜息と共に吐き出した。

「マリナさんがいると、話題がつきませんね」





<おわり>




※ このお話は、「forum」の「寄り道2」に入っているお話と同じものです。


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luraさん、こんにちはー。お久しぶりです♪
ええ、でも、ひっそり、こっそりと読み逃げしていますので、「久しぶり」に疑問符が……。

これはまだ「物語」とは言えませんねー。その前の段階に近いです。これから少しずつ手を加えて行って、「物語」と堂々と呼べるものになりますね。
では、なぜ載せたのか……?
それは、これから反転の中でひっそりと「物語」を完成させていこうかなという、試み?で、ございますよv-360

(ちなみに、私もまさかここでお話を載せるとは、夢にも思いませんでした……)

それでも、感想はありがたいです。ありがとうございますv-343
私のお話はいつもどこかほのぼのです。ふふふ。

………私とジルが似ていますか!?
うお! これは、褒められているのでしょうか。褒められていることにしても良いですかね?
――よし、褒められていると思うことにしよう!!

ありがとうございますe-266

一体、どこでバレたんでしょうね。
そうです、ジルの一部は私です!!
(全部じゃありません。一部ですよ。他の一部はほぼマリナ)
さすがに、あのジルの強さは持ってはいませんが、優しいところなんかは、そっくりv-410


………ゴメンナサイ、嘘つきましたー…v-406
そんなに優しくないデス……。

お久しぶりでございます~!(><)

わたくしは、ジルへの思い入れがあまりないので、彼女らしさだとか、彼女へのコメントはとてもし辛いのです・・・・。彼女を描くことも、難しいし、彼女を表現するのは、実は、カーク以上に、苦手なのです。

とううわけで、マリナちゃんを(^^)

和ぎちゃまの描く、マリナちゃんは、原作の雰囲気を失っていないなぁ~。といつも関心してしまいます。会話はもちろんですが、彼女の思考の部分なんかは、ホント原作そのまんまで、とても楽しめるのです。このお話も、そうでした(^^)

なんだか、和ぎちゃまもお忙しそうですが、これからも、お互いに、作品を書き続けましょうね~。

では、また遊びに参りますねv

お久しぶりです~v-410

ジルへのコメントは、深く考えずに、ありのままでいいのですよ~。つかみにくいお人ですからe-343
ジルは本当に目立って活躍していませんでしたからね、カーク以上だと思います。ええ。

力を抜いて書くと、いつも大体こんな感じのマリナが出来上がります。
こういうお話は、私のリラックス場所ですねぇ。力まなくていいから、楽なのですよ~。
そんなお話を楽しんでもらえて良かったですv-343

ハイ、忙しい…ですが、ちまちまとやっていきます!! よろしくお願いします!!!

はじめまして!!
某所でいつも読ませていただいております(^▽^*)
リンク見つけて思わず飛んできてしまいました♪飛んできた甲斐があって素敵な小説が・・・☆
マリナは何をしてシャルルを怒らせちゃったんだろう…ナゾです(ネタはイロイロありそうで…検討がつかない^^;)
和ぎ様のほのぼの~♪とした雰囲気に癒されて今日は眠る事が出来ます^^
ありがとうございました♪

また、是非お邪魔させて下さいね
失礼いたしました~(^▽^)


P.S. 丁度入ったらカウンターが”3333”なんてゾロ目でした♪
あんまりゾロ目見る事がないからちょっと幸せな気分v

はい、こんばんは、しゃささん!

某所でのご愛読(?)ありがとうございますv-343
リンク先はそんなに出していないのに、よく発見なされましたね。素晴らしいです。確か、1・2回程度だったと思うのですが……。探すのは大変だったのではないでしょうか? ご苦労様です。そして、ありがとうございますv-410
ここで書くことは滅多にないと思うのですが、そのタイミングに居合わせたことが、凄いですわ。グット・タイミングです。
怒らせた理由は……一応、決まっているのですが、このお話を書くに当たって、思わず外してしまった私です。何せ、昔のお話を引っぱり出してきて、見るのも笑える状態だったので……。
(自分の文章が面白い、という意味)
機械があれば、続きを書いてみたいですね。

うふふ…。よく眠れたでしょうか?
ほのぼのではない、そんなものも書きたいですね。今のところ、出来そうもないのですが。楽しんでいただけたなら、大満足ですよe-343

おおっ、3333がでましたか!!
私自身も狙って(?)いたのですが、ゾロ目なんてほとんど出た試しがございません。素晴らしい!
よかったですね~。何かリクエストなどございましたら、お答えいたしたいと思います。なにか、あります??

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お返事が遅くなってしまって、スミマセン。
こんばんは、しゃささんv-343

ふふ。オタオタしてしまいましたか?
それは、喜ばしいことです。私にとって♪

……んがっ! えっ、あの姿が見たいって!? それは、私に戦いを挑めとおっしゃるのですね? 彼に、戦いを挑めと…。………あわあわv-394

駄目ではありませんが、しゃささんの思うような彼の姿が見られるとは限りませんよ、きっと。
それでもよろしければ、頑張りますけれどね…。
(うわーん、私には、鬼がふたりいるわっ)

和ぎ様こんばんは^^
お返事ありがとうございました☆
遅い訪問で、大変申し訳ございませんm( ;)m

えぇ、あの姿…
是非!!是非!!見たいデス(笑)

違う意味で期待を裏切って下さっても
全然構いません♪♪
もちろんお待ちしております~o(^-^)oワクワク
いや~ん☆楽しみvv



しゃさん、こんばんは☆

うふふふふふ……。只今、鋭意創作中!!
お話を創る上では、私も鬼になってしまいます故、作中で何が起こっても私は知らない……。

しゃささん、シャルルにエールを送ってやって下さいませ★

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和ぎ(なぎ)

Author:和ぎ(なぎ)
7月30日生まれ。
北陸在住の藤本ひとみ中毒者。
性格: 小心者、忘れっぽい、
     面倒臭がり屋、マイペース

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