空模様

思いついたままをぽつぽつ綴ります。
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Many thanks!

リクエストをいただいてからUPするまでにかなり時間がかかってしまいましたが、今日、キリ番リクエストにお答えしたいと思います!! 年を跨いでしまいましたよ。ごめんなさいっ。この間のキリ番リクエストは、もう少しお待ちくださるとうれしいです! 次のキリ番リクエスト、もうすぐですね。……なんか……本当にあっという間です。お気軽にリクエストしていただけると嬉しいですv 時間がかかるかもしれませんが(汗)。

ちょっと長いので、時間を作ってから見てやって下さいませ。
この話は、「花を盗む人」のパーティー内での出来事です。一応、読んでなくてもOKです。

それでは、2nd Anniversary 最終日のお話をお楽しみください♪



          ** Sweet Smile **

 いつまでも何かを想い続けることって、凄くエネルギーがいることだと思う。
 そこまで人を熱くさせるものって、何かしら?

 私が彼女に出会ったのは、ほんの偶然。
 最初は電話で一方的に声を聞いただけだけれど、なんて鈍い女だろうと思った。それだけでも充分腹立たしいのに、彼女の姿を見た時は悔しさも交じった感情を覚えた。だって、彼女だって知っていたシャルルの秘密を、私だけ教えてもらってなかったんだもの。
 あの時兄さんが、どうして人を友達の距離においておけないのかって言ってたけれど、シャルルを友達の距離においておく方が難しいんじゃないかしら。あの時の彼女みたいに、誰か他に好きな人がいない限りは……。
 それから何年も過ぎ、互いに忙しくなって会うことも少なくなってしまったけれど、いつでもどこにいても、シャルルの噂は耳に入ってきた。たまに会うと、あの頃とは違う冷たい美を纏っている彼に甘えるのが快感だった。あんなに素晴しい頭脳と美貌を持っているのに、誰も寄せ付けない性格で特定の彼女は作らず、いつも私の我儘を昔と変わらず聞いてくれたから。私だけが彼に甘えても許される存在なのだと思っていた。

「ねえ、マリナ、どうしてその指輪欠けてるのよ?」
「え、んぐっ。……こ、これは別に、そのう、大したことじゃ」
「あっ、ねえ、よく見ると、周りも少し溶けてるような……」
 そこまで言うと、私から自分の手を取り戻した彼女はその手を後ろに隠しながら、首を左右にプルプルと振り始めて言った。
「き、ききき気のせいよ、見間違いよ。幻を見たのよ、きっと。そうよ、そうに違いないわっ」
 ……まあぁ、アヤシイ。
 きっと何かあるに違いないわよ。
 疑わしい眼で彼女のことを見、料理を一口。シェフが腕を振るった料理は絶品で、とろける様な舌触りがたまらなかった。シャルルが選んだものだと思って感心していたら、横にいるマリナの好物だった。
「うう~ん、やっぱりいつ食べてもおいしいっ。さすがシェフ、あたしの好きなものよく知ってるわ!!」
 聞くと、出ているもののほとんどが彼女が特に好きな食べ物であるらしい。
 私、どんな食べ物でも彼女の好物になるのかと思ってたわ。彼女に食べられないものって、ないと思うもの。たとえば、私が不味いと思ったものでも彼女はお構いなしに食べちゃうし、見ているこっちの食が落ちてしまうくらいの、旺盛な食欲を持っている。
「マリナ、あなた、後ろのファスナーが開かなくなるようなことするの、やめなさいよ。後で泣いて後悔しても知らないわよ!」
 そう言ったら、ほんの一瞬だけマリナの動きが止まって、くるりとゆっくり振り返った。
「そういうこと言うのやめてよ、食欲落ちちゃうじゃないっ」
「マリナは食欲が落ちたくらいがちょうどいい」
 私が言おうとしていたことを、誰かが先にマリナに言った。ふたりして驚き、振り返ると、そこには優美な雰囲気を纏いながら微笑んでいるシャルルの姿があった。久しぶりに会った彼は相変わらず物憂げで、辛辣さをそのまま移した瞳の色をしていた。
 彼はマリナの皿からチーズをひょいと摘むと、そのまま自分の口に放り込む。その行動を、マリナは腕を掴んで止めようとしていたけれど、それは無駄な努力だった。だって、わずかにシャルルの方が動きが早かったもの。勝負は最初からついていた。
「もうっ、何で、自分で取ろうとしないのよ!!」
「少しは自粛することも覚えてもらおうと思っての行動だよ」
「これでも自粛してるのっ」
 眉を上げて怒るマリナを、シャルルは眼を細めて見ている。
 ――その時私が感じた違和感を、何と言えばいいだろう。
 あんな子供じみた行動をシャルルが取るとは思わなかったし、彼が自らこんな風に話しかけてくるのを見るのも初めてだったけれど、それよりももっと大きな違和感が私を包み込んで、その場から動けなくしていた。
 その違和感が何なのかわからずに、懸命にその違和感の正体を見つけようと佇んでいると、シャルルがふっとこちらに視線を向けてかすかに表情を曇らせた。そう、彼は決して皆が思っている程冷たい人間じゃない。確かに目的のためなら何でもするような人だし、自尊心を傷つけるようなことを平気で口にするような人だけど、誰かのために、その時その場にある力で最善を尽くそうとする人でもあった。
「どうかしたのか?」
 自分の孤独をちゃんと知っていて、それでもなおまっすぐに立とうとする人。
 その迷いのない冷めたところが好きだった。
 シャルルは私に優しくしてくれるけれど、絶対に自分の内には入れてくれないことはわかっていた。だから、私は自由に甘えることが出来たのだ。好きに我儘を言えた。まさか彼がその扉を開いてみせる人が現れるとは思ってもいなかった。
「ねえ、シャルル。私もあの指輪が欲しいわ。だって宝石で出来た指輪ならたくさんあるけれど、あれは飴細工でしょう。あんなに美しくて盗られる心配をしなくてもいい指輪なんて、他にないじゃない? 私、今度の誕生日には飴細工の指輪がいいわ」
 仰ぎ見て微笑めば、彼はいつもの上品な笑みを浮かべて首を振った。
「ミズキにはミズキに合ったものをプレゼントして上げるよ」
 ほら、やっぱり。
「あれはシャルルがマリナにプレゼントしたものだったのね。ずるいわ、私には一度もあんな素敵なプレゼント贈ってくれたことないのに」
 軽く睨むと、シャルルはこの上なく優しい笑みを浮かべて眼を伏せた。
「マリナは特別なんだ。……何せ、『花より団子』だからね」
 その言葉を聞いてマリナは怒ったけれど、シャルルは楽しそうに笑うばかり。つられて、私も一緒に笑った。
 笑って、そうしてようやく納得した。
 シャルルはもう、私の我儘を聞いてくれることも、パーティーで私の手を取ってくれることもない。彼の手は、遂に選んでしまったのだ。たったひとりのパートナーを。
 やわらかく微笑み、彼女の前で彼は“人”になった。美し過ぎて近寄りがたかった雰囲気がほんの少しだけ和らぎ、人間的な魅力が加わっている。私が感じていた違和感の正体は、この彼の表情だった。
 彼女以外の誰がこの表情を引き出せただろう。
 もう何年も彼の心の奥にその比重を置かせ、永遠に輝くはずだった恋の灯を自らの手で地上に戻してしまう程の影響力を、マリナ以外の誰が持っているだろう。
 今、シャルルは、マリナにもう一度恋をしているのだ。
 今まで見たどんなシャルルよりも魅力的に見えるこの笑みは、全て彼女のものなのだ。
「シャルル、がんばってね」
 マリナを相手に恋をすることは、きっと、ずっと想い続けることより何倍ものエネルギーがいるだろう。
 それでも緑広がる荊棘の道を歩み始めた彼に、私は以前よりも強く惹かれる魅力を感じた。



<end>


Sweet Smile


     Thanks you for 30000(29999)hit and 2nd Anniversary!
                by request of iriko.


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【 2008/03/29 】 【物語】 | TB(0) | CM(5)
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【 2008/03/30 】 編集
きゃ~ん♪
和ぎ様、この度は素敵なお話をありがとうございます!!
どうやら難しいお願いをしてしまったらしい・・・と気を揉んでいたのですが、和ぎ様の筆にかかっては杞憂というものでしたね(^^)v
どなた目線でくるかなぁ、と楽しみにしていたのですが、瑞貴お嬢様でしたか♪
マリナちゃんに結構ズケズケ言っているようでいて、ちゃんと彼女を認めているんですね。マリナと良いお友達になれそうな…なんて言ったら本人には否定されそうですけれど。。
素敵なレディに成長した瑞貴がとても自然に感じられ、温かみが表に出てくるようになったシャルルとの3人のやりとりが拝読していて心地よかったです★

しかもこれは「花を盗む人」のサイドストーリーなのですよね!
好きなんです~、そういうの!
飴より甘く煌めく視線を送るシャルルのイラストも、重ね重ねありがとうございました。言ってみるもんですわ~(おいっ)

****************
別のところのコメントを拝読していて気になったのですが。
私は和ぎ様的には何歳くらいになるのでしょう???中トトロくらいでしょうか??
あ、「月日」はあっちこっちで公言しておりますが、毎年和ぎ様がショコラティエとして腕を奮われている『煮干の日』ですよ~★★
【 2008/03/31 】 編集
さんくす!
 ☆ Mさん

ハグ返しっ! ぎゅむぅっ~。
体調の方はいかがでしょうか。快復されましたか? まだまだ体調にも気をつけてお過ごし下さい。

そうです! イツキの血の繋がった妹です。
私は時々、マリナシリーズ以外のお話も創ります。花織シリーズも再び集めてみます??
「マリナ」の中では、「コイツっ!!」と思いました。私も。シャルルに何てことをさせているんだと……。イツキは妹に甘すぎる傾向があるようです。「ばら物語」が亜絵香お嬢様ですね。美馬さんのいとこの。

もっと嫉妬する瑞貴にしたかったですが、それはまた別の話だな、と思いました。ハッピー・エンドで終わるのが好きです。

私もMさんや皆さんに会えたことに感謝! です~~~♪♪♪


 ☆ いりこさん

リクエスト、ありがとうございました!!!!
いいええぇっ、杞憂ではないですっ。めちゃめちゃ悩みましたよ!! 遅くなったのはそのせいだけではないですが、悩みましたっっ。
瑞貴が一番書きやすそうだと思ったので、瑞貴お嬢様です。わがままなところはそんなに変わらず、マリナを認めているけれど、お話の後できっと嫉妬していじめに走ります。でもきっと、マリナのことが好きですよ。「友達? 冗談じゃないわっ!!」って言うかもしれませんが。

ジルでは近すぎて気付かなかった微妙な変化を瑞貴に気付かせてみました。マリナはもちろんジルも(?)、「え、前からそんな表情じゃない?」と言うのではないでしょうか。

あ、もう少ししたら、「花を盗む人」の続きをUPしに行かなければ!! ちょうど間にこのお話があってよかった感じでしょうか。
イラスト付きのリクエストは初めてです。慌てましたよ、いりこさんっ!


ああ、思い出しました!! そうそう、「煮干しの日」だから「いりこ」なのですよね。うーん、自分の物覚えの悪さを露呈させてしまいました……。ウイスキーボンボン(ペピート君)をプレゼントします。

えっと、いりこさんの年齢は………725歳です。

【 2008/04/02 】 編集
今更ですが・・・感想を。^^
えらく遅くなってしまって。。。(汗)
今更ですが、感想を。。。(滝汗)

わたくし、マリナシリーズすら全部読んでおりませんので・・・こういう別サイドからのお話というのがどうも苦手でして。。。^^;
でも、でも、読み進むうちに思い出しました。この瑞貴さんという方の存在を。(笑)

>ジルでは近すぎて気付かなかった微妙な変化を瑞貴に気付かせてみました・・・・・

見事ですね。近いからこそ気づくことと、近いからこそ気づけないことというのが我々の日常では存在します。その、シャルルの微妙な変化を、見事に書き取った作品だと思いました。

和ぎちゃまの作品の、このなんとも表現しがたいやわらかな空気感が、いつも素敵だなぁと憧れます。読後には、ほんわりと温かい気持ちになれるところも大好きです。^^
【 2008/05/07 】 編集
ありがとうございますっvv
いくら遅くなっても、私はちっとも構いません♪
感想やコメントがなくても、誰かが読んでニッコリと笑って下さったら、私はそれだけでうれしいですものv
が、それは、こちらからは全く分からないというのが難点といえば難点なのです。拍手連打! とかしてもらうのが夢ですね。

ええ、ええ、マガさんのような方(読んだとしても忘れているような場合も含め)もいるだろうと思って、多少、薄ボンヤリとした説明をいれてみました。記憶の掘り起こしに役立っているといいのですが……。分からなくても読めるようには、してありますけれどね、一応。うん。

あははっ(照れ笑い)。
書き取れていますかね? 笑顔だけで判断していいのか、瑞貴! とか思いましたけれど、彼が笑顔だからいいのよ、と返ってきそうです。多分、書いている私が一番理解していないと思います。

分かります(え)。とある方々の本を読むと、私も同じ現象に包まれ、すごくすごく憧れるのです。こういうお話を創れたらいいのになぁ、と。大好きだわーと。
でも、私は何ら意図して書いてないのです。時々、意図して書くこともありますが……。なんでしょうねぇ、私の頭の中は常春なのかもしれませんね。いつか常秋になって、皆さんを寂しさの中に突っ込んでみたいです。いつまでも常春じゃあ、バカみたいですからね。色んなお話を書きたいです♪

でも、やっぱり最後はニッコリがいいですよね。……って、やっぱり、春になっちゃう!!

【 2008/05/11 】 編集
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